作業療法学科 BLOG

刑務所で、作業療法士の仕事が増えそうです。

 

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Photo by Markus Spiske on Unsplash

 

◆作業療法士が刑務所で働いていることを知っていますか?

作業療法学科教員の石川です。

今はまだ人数が少ないですが、刑務所などの矯正施設で作業療法士が働いています。
そして刑法が改正されたことを機に、作業療法士がさらに配置されそうです。

 

私は以前、2ヵ所の刑務所で働いた経験がある、作業療法士・足立一先生の講演を聞きました。
先生によると、刑務所での作業療法士の役割は、
受刑者に“社会復帰にむけた改善指導プログラム”に参加してもらえるよう
働きかけることだそうです。

また受刑者の中には明らかに医療的な関わりが必要な人もいて、
助言することもあったと話されていました。

 

さて、話を刑法に戻します。
2022年6月13日に”改正刑法”が成立しました。

 

今回の改正では、刑法が制定された明治40年以来、
初めて刑の種類が見直され、”懲役刑”と”禁固刑”を一本化した
「拘禁刑」が創設されることになりました。

 

・懲役刑とは、犯罪者を受刑施設に拘禁して、刑務作業を行わせるという刑罰。(刑法12条2項)

・禁固刑とは、この労務作業の義務がない刑罰。(同法13条2項)

 

ドラマで、裁判官が木槌を叩きながら「〇〇を懲役何年刑に処す」
と言っている場面を見た事ありますよね?

懲役刑とは一般的に、刑務所で強制的に労働(木工、裁縫、印刷、靴の製作など)を
行うことを言います。この懲役刑がいずれ廃止され、拘禁刑に変わります。

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法務省矯正局「日本の矯正施設」より

 

◆拘禁刑とはどのようなものでしょうか?

拘禁刑とは、受刑者を刑事施設に拘置した上で
「改善更生を図るため、必要な作業を行わせ、必要な指導を行うことができる」
と規定されました。

これにより懲役受刑者に科されていた刑務作業が義務でなくなり、
改善更生に向けた指導や教育に、より多くの時間をかけることが可能となります。

刑が懲罰的な意味合いから、改善更生に軸足を移したということですね。
被害者ならびに被害者家族の気持ちを考えると心情は複雑ですが、
それでも変えていかないといけない理由がありました。

 

◆拘禁刑制定の背景にあるもの

令和3年度版「犯罪白書」によると、犯罪者が年々減少傾向にあります。
にもかかわらず、受刑者の再犯率が49.1%と増加しています。
ようやく刑期を終えて出所した後も、再び犯罪を犯し、
刑務所に戻ってくる人が多いということですね。

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令和3年度版「犯罪白書」より引用

 

再犯率を減らすため、刑務作業の時間に縛られることなく、
更生のための指導や教育に力を入れる必要がありました。

また、2020年の65歳以上の受刑者は、
2000年から2.4倍に増えて高齢化が進んでいます。
体力や物事を認知する力が衰え、通常の作業が難しい人が増えてきたという背景もあります。

 

今後は、受刑者の体調や能力・特性を見極めた上で、
社会復帰できるような作業を提供することが求められます。
これは作業療法士がもっとも力を発揮できる領域です。

 

↓の動画では、高齢になり身体機能や認知機能が衰えた受刑者が
更生プログラムに参加できるよう、作業療法士がプログラムを実施している様子が映っています。

▼画像をクリックすると閲覧できます。
YouTube画像

「ナゼ刑務所でリハビリが…115年ぶりの法改正
「懲役刑」と「禁錮刑」が廃止に 変わる刑務所の現場を取材|TBS NEWS DIG」より引用

 

動画では高齢者を対象とした訓練を行っていますが
宮口幸治著『ケーキの切れない非行少年たち』には、
少年院にいる若い受刑者の中にも、認知機能トレーニングといった
医学的アプローチが必要だと書かれています。

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これらのことから、刑務所などの司法の場で働く作業療法士が増えそうです。
それにより犯罪が減ったらいいですね。
作業療法士は医療・福祉の垣根を超え、より一層社会に求められる存在になりそうです。

 

 

作業療法学科教員:石川 大

参考資料:日本作業療法士協会誌 第119号 2022年2月号

 

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